一度きりの誓いを



 何を言われるのかと思えば、この状況で聞かれるとは思わず怪訝な表情になる私。


 助けてもらったところ失礼だが、何だかまた面倒になりそうなので私は足に力を入れる。


「すみません、私もう行きますね。あ、助けていただきありがとうございます。じゃ」

 私はそう言い残してそそくさに立ち去ろうとする。


 踵を返し、男性に背を向け数歩行ったところで男性の声に引き留められる。


「一人で帰れるのか?」

(なっ…!)


 まさかの言葉にプライドが傷つけられた私足を止めてしまう。

「送ってやってもいいぞ」


 カッチーン…

 大人となった私にこれ以上ない侮辱を受けた私は怒りで後のことを忘れてしまう。



「あのですね!」

 私は肩越しに男性を振り返る。

「子ども扱いはやめてください。一人で帰れますから」


 ムスッと言い放つ。

 対して男性は鼻で笑うだけ。


「ふーん…」

 意味ありげに微笑む。



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