Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
キズ
「山田、その上に立てた髪とピアス、直して来いって何度も言ってるだろ。

いつになったら直すんだ!」



職員室で、担任が怒鳴る。



「苗字で呼ぶなって、半年以上も言ってるだろ。

テメエこそ、いつになったら直すんだよ?」



私も負けじと言い返す。



「山田を、山田と呼んで何が悪い?」



「この野郎…、いっぺん痛い目見やがれ!」



その辺の机の上にあったペーパーウエイトを、担任に投げつけた…ものの、かなり逸れた。



私が投げたものは、筆記中のオッサン教員の元へ飛んだ。



ヤバい、ぶつかる!



そう思った瞬間、その教員は右手で筆記をしたまま、左手で飛んできたものをキャッチした。



前髪が額にかからないように整髪料で整え、メガネをかけている、このオッサンは確か…。



私の友達、余合梨香のクラス担任してる坂下とかいう奴だ。



その神業に目を丸くしていると、坂下は私を一瞥し、ウチの担任に言った。



「何のために指導室を設けていると思っているのですか?

職員室で騒ぎを起こさないで頂きたいものです。」



「し…指導室!?

こんな凶暴な奴、何しでかすか分からないじゃないか!」



「では、一緒に副担任にも入って頂いたら如何ですか?」



坂下に指名された女副担任は



「ダークエンジェル相手じゃ、私はムリですぅ~。」



なんて、半泣き状態。



ちなみに、ダークエンジェルっていうのは私の異名だ。



坂下が、ため息をついた。



「分かりました。

私も一緒に入りますので、指導室に移動して下さい。

このままでは、他の先生方に迷惑がかかってしまいます。」



すると、ウチのクラスで数学を担当してる新任教員の蒼が



「僕も後学のために、ご一緒してもよろしいですか?」



と言って、ついて来た。



何が後学だよ?



お前はただ、面白がっているだけだろ?







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