Angelic Heart 【教師×生徒の恋バナ第二弾】
タクヤとは、メル友になった。



高校を出てから初めて仕事が貰えた時、一緒になって喜んでくれた。



仕事が忙しくて、憔悴した梨香のそばにいてあげられない時、私の代わりに様子見に行ってくれた。



タレントとして売れてきた頃、義父とのことをスクープされた時、懸命に慰めてくれた。



嫌いなタレントにずいぶん言い寄られて困った時、彼氏のフリまでして撃退してくれた。



そして毎年ホワイトデーには、真っ赤な薔薇の花束をくれた。



最初の年は



「坂下先生みたいに甲斐性無いけど…。」



なんて言いながら、50本もの薔薇をくれた。



タクヤの気持ちが分からないわけじゃないから、要らないなんて言えなかった。



だけど友達から貰うには多すぎると伝えると、本数を減らしてくれた。



「今年のホワイトデーは、イギリスに行くの。

弟の結婚式なんだ。」



「じゃあ、帰る日教えて。

空港まで薔薇抱えて、迎えに行くよ。」



これが、タクヤとの最後の会話。



私がタクヤの前から消えるまで、ずっと友達以上の関係にはなれなかった。



私の心は、坂下に奪われたままだったから…。



ごめんね、タクヤ。



せめて“ありがとう”の言葉は、伝えたかった…。









 



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