だから私は雨の日が好き。【冬の章】※加筆修正版
「シグに対する気持ちも同じような気がするな、と思ったのよ。これはあくまで推測だけど」
私に向けられる森川の態度。
友人として心配してくれていた森川の顔を思い出すと、私にはそんな風には思えなかった。
「確かに優しいですけど、森川は違うと思います」
「・・・シグがそう言うなら、きっとそうね」
「はい。きっと」
『実際、前の彼女のこと結構引きずってるみたいだし』という言葉は、しっかりと飲み込んだ。
森川が、私にしか伝えていないことを知っていたから。
森川はいつも多くを語らない。
だからその分、吐き出す言葉が本物だとわかる。
いつか言っていた『届いてくれよ』という言葉が、脳裏に響いていた。
あれは、きっと。
前の彼女のことを想い出していたに違いない言葉。
苦しそうなその声に、私まで胸が潰れそうなくらい苦しくなった。
「まぁ、あくまで推測だから。森川君は一番つかめないわ」
そう言って自分のサンドイッチを口に運ぶ。
同じものを食べていながら、どうしてそんなに上品に見えるのか。
思い切り問いただしたい気持ちになった。