ORANGE SNOW
その娘の部屋に案内しながらも公爵が喋り続ける中セルリアは屋敷の中を見渡し、屋敷の構造を頭にいれていく。
やけに頑丈に鍵をかけられた扉をもう何回も通過していた。
重そうな扉にかけられた鎖と南京錠を公爵が外してるのを見、なぜこんなに、と尋ねても、

「危ないからに決まってるじゃないですか」

と答えられ、さっきの「部屋から出てこない」という言葉に疑問を持つ。
これでは部屋から出てこないのではなく、出れないのだ。
言ってることとやってることが矛盾してるな、と考えてると今までよりも装飾が派手な扉を公爵があけていた。
セルリアがその扉をくぐると、

「夕方に舞踏会があるので迎えにきます。
護衛お願いしますね」

と言われ、がこんっと扉を閉められ鍵をかける音が聞こえた。
一気に視界が暗くなりセルリアは注意深く部屋を見回した。

「(何か裏がありそうね)」

甘いお香の匂いが鼻をくすぐり、セルリアは顔をしかめるとこつ、と一歩足を踏み出した。
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