不器用恋愛


啓吾は僅かに眉を上げてから真っ直ぐにあたしを見つめる。


深いブラウンの髪がやっぱりこのバーにも馴染む。噛みたくなる位高い鼻。
ムカつく位、エキゾチックな顔立ち。

夜を閉じ込めたような瞳は、いつもはない感情を揺らしていて、


うわあ、なんか、もう、謝るから、




「おまえね、鈍感すぎ」




啓吾が僅かに右目を細めるその仕草に動揺して、


「な、なにがよ?」


逃げ出したい。

その射抜く様な瞳と、距離に心臓が跳ね上がる。



あたしの「ヤキモチ」発言だって消化してないくせに、容易く話の主導権を自分に戻して、もやもやする意識をはっきり繋ぎとめる。


大体、『帰れば?』なんて言うドS男がどうしてまたあたしの隣にいるのかなんて



考えたら、



…ねえ、


なんなの、


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