恋愛しない結婚
「……んっ、ふっ」
思いがけない声が出てしまって、恥ずかしくなる。
奏と出会ってから間もないというのに、あっという間にこうして互いの唇を啄んでいる。
呼吸の合間にさらに奏の舌が私の舌を探り、絡ませてくる。
「あ……っ」
思いがけない心地よさと安心感に体がふわりと揺れたように感じる。
まだ奏のこと、何も知らないのに、どうしてもこの暖かさを自分のものにしたくてたまらない。
そんな私の気持ちを見透かしたように激しくなる奏の首にしがみつくと、強い力で抱きしめられた。
「ずっとこうしたかった……。酔っ払ってる夢を見てからずっと」
そっと唇を離し、呟く声に視線を上げると、そこには嫌味なくらいに色気のある奏の表情。
どうしようもなく鼓動が跳ねる。
どうして、こんなに甘くけだるそうな顔をして私が喜ぶことをさらりと言うんだろう。
「ずっと見てたの?酔っ払ってる私のこと……全然可愛くなかったでしょ」
「くくっ…。輝さんの店で仕事の愚痴を言いながら酔っ払ってるのも、仕事がうまくいって喜んでるのも……会社で周りの女にやっかまれて悩んでるのも見てたよ」