妖精と彼
……きっと和や博貴は、告白もためらってしまうような奥ゆかしい子に好かれているんだろう。
そうじゃなきゃ、おかしいと思う。
二人は俺のことを羨ましいと言うけれど、俺は二人の方が羨ましい。
「…二人に、早く彼女が出来れば良いのにな。」
ポツリとこぼれた言葉を聞いて、二人は俺を見た。
そしてニカッと笑うと俺の肩を両側から叩く。
「ありがとな!愛」
「ありがと。俺ら、ちゃんとお前のこと好きだし。男の敵でも、俺はお前の味方だよ!」
和と博貴は俺の頬を、からかうように両側からつまんで引っ張る。
その手を無理矢理払い落としていると、二人が楽しそうに笑う。
それをクラスの皆も微笑ましい目で見られていることに気付くのはもう少し先の話だけど……
この二人のおかげで、俺は楽しい毎日を過ごせている。
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授業が終われば、銭湯の清掃のために、俺は早々に家に帰る。
部活に入っている人もいるけど、進学校なのもあって部活には入らずに教室や図書館とかで勉強している人が多い。
そんな周りを見ながら、俺は即刻家に向かう。