妖精と彼








「…………。」







一人で歩く学校帰り。
ふと目を向けると、ボンヤリと電柱の奥に誰かがいる。






細い電柱のすぐ隣には、民家の塀。
人が立つには狭すぎるスペース。





あ……人間じゃないな。気配やオーラも人間の放つものじゃないし。








そう思って、そちらへは視線も向けずに前を素通りする。
何度となく慣れた感覚。





何事もなかったかのように家までの道を歩いていると、背後から走ってくる足音がする。
そして、




「愛ーっ!」







振り返らなくても誰だか分かる、俺を呼ぶ明るい声。
その声に、少し肩が軽くなる。









「……姉さん、」







俺の姉さん、倉本 悠(くらもと ゆう)。
大学一年生。
姉さんは去年まで、俺と違う高校に通っていた。その頃にはブレザーの制服を着ていたけど、今は私服で大学に通っている。





姉さんは、すらっとした美人。
大学では建築を勉強していて、こざっぱりとした……男前な性格。
ご近所さんは皆、自分の息子のお嫁さんに姉さんを狙っていると有名らしい。
(うちの母さんが言ってた。)













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