妖精と彼








さくらが俺に質問をして、俺がそれに応える。
そんなやり取りがほとんど。







俺からも話題を振るべきなのだろうかと思うけど、なかなか話題が見当たらない。
ゆえに、俺は会話の主導権をさくらに任せた。





そんな俺にさくらは気付いているようだけど、何も言わず常に微笑んでいた。







さくらが提供する話題に沿って、毎日少しずつお互いの年齢や通っている学校、家族構成などの話をした。







さくらはこの大きな桜の木の妖精で、樹齢と同じ年齢(年齢というのかは分からないけど…)で50年。


50年だなんて、17歳の俺からしたら俺の親以上に年上だ。
だけど、そんなことは気にせずタメ口で話してほしいと言われた。






さくら自身は、俺に対して敬語で話すのが気になったけど、クセになっていて治らないらしいので放っておくことにした。







さくらを始めとする「妖精」には家族はおらず、家族構成はなし。



妖精というのは基本的に一人ぼっちな生き物らしい。













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