隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話
「あの人好きになると大変だぞ」

「うん」

「バツイチで子持ち。今は隣の可愛い幼稚園児だけど、万が一……結婚とかなると、それじゃ終わらない。いきなり母親になる。苦労が目に見えるから、お前の両親だって許すかどうかわからない」

「……わかってる」

「俺の方がいいよ。職は安定してるし、昔から知ってる仲だから遠慮もいらない。親もきっと賛成する」

客観的に見れはそうだろう。
誰だって
田辺さんより達也の方が理想的だ。

「俺はお前をずっと見てきた。ケンカもするかもしれないけど、大切にする」

ここまで言われてるのに
私って本当にバカだ。

黙り込む2人の間にコーヒーが運ばれる。

「って、俺が何を言ってもダメだろう」

ふと空気が柔らかくなり
達也の声が優しく響く。

「頑張れ」

そう言われ

「うん」と返事をする私。



もう

それだけで

何も言わず

私と達也は通じ合う。

ごめんね達也
そして
ありがとう。
< 101 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop