隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話
「いくちゃーん!」
ドストライクで桜ちゃんが隣から走ってきた。

あらら
私の心が届いたか?
髪の毛サラサラ天使ちゃんは、ピンクのTシャツも可愛らしく、ワンコのようにまっしぐら。

「いくちゃんにプレゼント」
小さな手が前に出て
折り紙工作の登場です。

その黄色の折り紙はお花の形。
なんだろアサガオかな。
花弁にあたる中心の部分は、500円ほどの大きさの白いシールが貼ってあり
シールの真ん中にはマジックで女の子の顔。

折り紙の裏には紙テープが大きく輪になり

「お花のネックレスです」
顔をくしゃっとさせて
桜ちゃんは言う。

「可愛い。くれるの?」

「いくちゃんのおかおだよ」

このお目目のデカい
キラキラ系の顔の女の子は私?

あらあら
可愛く描いてくれたのね。

「とっても嬉しい。ありがとう桜ちゃん」
いただいたネックレスを首からかける。

あら
大きくてゴージャスですわ。

「大切にするね。ありがとう」
桜ちゃんにお礼を言うと

「ごめんねいくちゃん。ピンクじゃないの」

ん?
モジモジしてる幼稚園児。

「さくらはいくちゃんが大スキで、いくちゃんはカワイイから、いつもピンクにしてるけど、ピンクはあしたお母さんにあげるから、きいろでゴメンね」

そう言われてしまった。

桜ちゃんも大好きなピンク色。
たまに工作の折り紙作品を私にくれるけど、そういえばいつもピンクだった。

ピンクは特別。

そして
その特別は
あの人

桜ちゃんを産んだ彼女に渡される。

田辺さんの元の奥さん。



< 116 / 277 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop