隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話

先生は私の様子を伺い
近くにあったボックスティッシュを渡しながら笑顔を見せた。

「お父さんのおっしゃる通りです。とても嬉しそうに大切に桜さんは僕に教えてくれました」

桜ちゃん。

「今のお父さんのお話で納得できました。桜さんは天国のお母さんとご両親に見守られ、学校でも元気に楽しそうに過ごしてます」

肩の荷が降りた瞬間。

「西島先生……」
涙声でそう言うと

「工藤です」
ピシャリと訂正されてしまった。

その後
学年行事とか色々な話をして
西島……工藤先生は帰って行ってしまった。


帰ってから

ヘナヘナと彼の胸に崩れてしまう。

「家庭訪問終わったね」

燃え尽きた私。

「郁美さん。テンパりすぎ」
彼は笑って私を抱きしめた。

「だって心配だったんだもん」

「問題ないでしょ」

「楽天家」

「心配性」

ふたりで顔を見合わせクスッと笑う。

「心配だったんだもん。先生が家に入ってきてさ、私がお出迎えしたじゃん。そしたら人の顔を一瞬ジッと見てたから……本当の桜ちゃんの親じゃないんだ……って確認されたみたいで」
本音を言うと

「あ、それはきっと違いますよ」

いとも簡単に否定されてしまった。

ん?なんで?
その自信ある根拠はどこからきた?
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