隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話
空気の抜けた風船のように
気持ちがシュルシュルとしぼんでしまう。
私じゃダメなのかな
桜ちゃん
お母さんが恋しいのかな
私じゃ
ものたりないのかな。
客観的に見ると
失敗ばかりで
オロオロしている私は失格なのかな。
目頭が熱くなり
なんだか急に大きな水たまりが目の中にできた気分。
ポタンと水滴がテーブルに落ちそうな勢い。
さっきまでのヤル気はどこに行ったのだ私。
うつむいてると
「桜には大切な母親が二人おります」
紀之さんが穏やかな声を出す。
「自分を産んでくれたほどんど記憶のない母親と、いつも一緒にいてくれる大好きな母親」
紀之さん。
「僕も桜が三歳前に妻を亡くし、昨年の暮れ彼女と結婚しました」
先生は真面目なうなずき
正面から彼を見る。
「亡くなった妻は桜にとっても僕にとっても大切で忘れられない人です。でも、隣にいる彼女も僕達にとって大切な存在です。僕と桜の共通の愛する人です」
共通の愛する人という言葉に胸が熱くなる。
「いつも一生懸命で娘の事を一番に考えてくれます。育児経験もなく実の親じゃないけれど、百点満点の母親です。自信を持って言えます。だから桜もそんな意味で先生に教えたと思います」
紀之さん。
あぁダメだ
やっぱりテーブルに水たまりを作ってしまう。