隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話

 疲れた。

泣いた。泣いた。泣いた。

泣きすぎて頭が痛くなった。

恐るべし卒園式。


「いくちゃんママ。大丈夫?」

燃え尽きて
家に帰って着替えたら
ソファに沈んでそのまま夕方になってしまった。

窓から入る夕陽がまぶしい。
時間の感覚がない気分。

「大丈夫だよ。おかえりなさい桜ちゃん」

疲れ果てる私とは逆に
桜ちゃんはとっても元気。

卒園式が終わって
園で慰労会というのがあり
役員のお母さん達が用意してくれて、子供達と親と先生達でテーブルを囲んで小さな宴会。

子供達は元気に最後の幼稚園を満喫し、慰労会が終わってから桜ちゃんはお友達の家に遊びに行き、今、お友達のお母さんに送ってもらって帰宅です。

私は着替えてソファに沈み

あれ?
紀之さんはどこだ?

「冷蔵庫にプリンがあるよ。手を洗って食べてね」
桜ちゃんに言い
ソファから起き上がると
頭がクラクラ。

二日酔い気分。

感動の涙を流しすぎた。

でも
私でこれなら

もっと号泣していた
紀之さんはどうだろう。

泣くのも慣れてるから大丈夫か?

頭を押さえながら階段を上がる。

今日はピザでも取ろうかな。

卒園式の日に手抜きになるけど、作る元気がない。
入学式にごちそう作るから

今日は隣でソバでも食べよう。
天ぷら付けてもらおう。

彼はどこだろう。

寝室を覗いても姿はない。

寝こんでるのは私だけ?
ごめんね。仕事してたかな。

気配の感じる仕事部屋の扉を開くと




号泣しているへタレがひとり。



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