隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話
参観日は土曜日なので
お父さん達もたくさん来てる。

紀之さんと教室に入ると、あちら側の窓際までズラリと保護者が並んでいた。
出遅れたかな。
子供の数より多いかも。

新米ママはコソコソと夫を引っ張り隅に並ぶ。

新一年生達は一生懸命お勉強。

さんすうのお時間です。

先生に問題を出されて、みんなで手を挙げて張り切ってます。

うちの桜ちゃんも、元気に手を挙げてる。

こんな時
先生にあてて欲しいような、欲しくないようなドキドキ気分。

間違えた答を言ったらどうしようって思っていると、先生は桜ちゃんの隣の席の男の子を指名した。

「3つです!」
男の子
はりきって答えたけど

「残念」って先生が言う。

うん
ひっかけ問題だね。

「じゃぁ4つ」
男の子は負けずに答える。
元気な声が可愛いな。

先生は苦笑いで「惜しい」と言い、男の子は「そしたら5つ」と大きな声を出し、周りの保護者と子供達の笑いを誘う。もう計算式どうでもよくなってし。その根性は好きだなぁ。隣の席で桜ちゃんは男の子の頭を軽く叩き、男の子も叩かれて笑ってる。

「かわいいですね」
紀之さんが楽しそうに私に言うので

「あの子、ホワイトデーに桜ちゃんにクッキーくれたユウト君だよ」と、教えてあげたら

「前言撤回」と冷たい声を出し、表情が無となる。

ガン見はやめなさい。

火花飛ばさないでね。
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