隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話
そして入学式が終わると
すぐ参観日というものがあるらしい。
案内のプリントを冷蔵庫の扉に貼りつけ、二階に走って数少ない服を引っ張り出す私。
ユニクロで見つけたベージュの薄いニット素材のカーディガンとひざ丈タイトスカート、シルクっぽいインナーを合わせると……あら不思議、参観日のお母さんのでき上がり。
たんなる自己満足。
これでいいのかなー。
マニュアルにそってる感はあるけど、ピンとこない。
何を着ればいいのだろう。
参観日なんて初めてだし。
タメ息をして、またスタートに戻るで服を脱ぎ、スカート丈の長さで悩む。童顔で若く見られる私だから、カッチリした服の方がいいのかな。スーツは堅いよね。やっぱり最初に着た服が無難だな。落ち着いて品よく、年齢が上に見えそうな服、そんなの持ってないし。ユニクロならどこかのお母さんとかぶるかな
あぁわからない!
混乱してきた。
鏡の前でとっかえひっかえ着替えていると「ファッションショー?」と、夫の登場。
彼には何を着せよう。
また頭を悩ませる。
「参観日の服装」
半べそで訴えると笑われた。
「誰も人の服装なんて見ないでしょう」
「だってー」
「デートじゃないんだから」
「デートの方が楽だよ」
「ひどいなぁ」
すっぽり私の身体を抱き、笑って首筋にキスをする。
「何を着ても可愛い」
優しい声に甘えてその胸に抱かれる。
「何も着ないのが一番だけど」
発言が肉食系だけど。
「春っぽいのが明るくて、元気な新一年生の教室に負けないでしょうね」
なるほどの適切な意見。
私はベッドの上に広っている服の中から、お気に入りの膝上ベージュのフレアスカートと、七分袖の明るい紺色ジャケットを並べ、その中に白の薄手のニットインナーを重ねる。
「春色ですね」
「うん」
これに決めた。