言葉が映す心は、鮮明に。
水溜まり


雨の日
私は母におつかいを頼まれる

めんどくさい。
そう言うと
まためんどう事が増える
仕方なく近所のスーパーへと向かう


傘をさして歩いていく
早く家に帰って
漫画の続きを読みたい
自然と足の運びがはやくなる

前方に相合い傘をして歩くカップルが見える
楽しそうに会話をする二人
雨の日で嬉しいのは
カップルぐらいじゃないかしら

早く帰って漫画読みたいのに
相合い傘の二人の足取りは遅い
その二人が細い道をふさいでいる
すぐうしろを歩く私に気付いていない
早く歩きなさいよ
ていうか退いてよ

そう考えながら歩いていると
自分の傘にうしろから何かが当たった
振り返ると相合い傘をした
カップルの傘が当たったようだ

ごめんなさい
とっさに謝る
男は舌打ちをして
女は睨んでくる

私が悪いっていうの?
悪いのは相合い傘の二人だ
どうせ前も見ずに
話に夢中だったんでしょう?

あぁ、最悪だ
舌打ちしたいのはこっちだ

相合い傘なんて嫌いだ

むしゃくしゃする

目の前には水溜まり
その水溜まりでさえ
私の行く手を阻んでいるように見える

目の前の水溜まりは
あの相合い傘の二組を映したのだろう

目の前の水溜まりは
黒く濁っているように見える
透明な水滴の集まりなのに
なぜこんなにも黒いのか

私は水溜まりを蹴った
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