溶ける温度 - Rebirth -

「ん…、よく分からないけど、急に不機嫌にはなってたかも。だんまりな感じで」

「……なるほどね」

「でも、そのときだけだよ。次の日からはいたって普通だし。秘密って言われたことが仲間はずれみたいで嫌だったんじゃないの」


真さんの態度を振り返ってみれば、そうとしか考えられない。
実際あの日は早めに店じまいをしようとしていたわけだし、会話から外されたあの時間は、さぞつまらない時間だったのかも。

謝ろうと思ったけれど、本当に次の日からはいつもとなんら変わらない態度で「よう、今日もよろしくな」と言われてしまったので、そのタイミングも逃してしまったのだ。

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