齧り付いて、内出血

店を出ると、冷えた夜風が火照ったからだに心地良い。

結構飲んだのに、あんまり酔えなかったな。

もういたって普通だ。


この店は大通りから一本入ったところにあるので、人通りもまばらだ。

足早に歩いていると、変なものが目についた。

…目の錯覚、かな。

数回瞬きをして、もう一度見ても、光景は変わらない。

これは大変だ!


『どうなさったんですか!?』


人が倒れてる!

暴行?傷害?

まさか死んでないでしょうね!?

いや、生きていたとしてもこんな状態で冬空の下で放置したら…。


『起きてください!』

からだを揺さぶりたいのは山々なのだけど、あんまり良くないと思い、心の中で謝罪しながらビンタを一発。

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