齧り付いて、内出血

「本当はお前を車で送ったあの日からとっくにやられてたんだ、けど、頼が恋人はいらないって言ってたからその気になるまで待つつもりだった。頼が俺に落ちるまで、頼の望む関係でいてやろうって。」


あの言葉はそういう意味だったの?

そう思ったら、久世の言動行動ずべてが逆に思えてくる。


「お前のことが大切だから、言うこときいてたんだろうが。それなのに頼はどんどん離れていくし、好きだって言っても信じてももらえねえ…俺にどうしてほしいんだよ…?」


「言え、その通りにしてやるから。」


本当に困ったような顔の久世。

私たち2人ともどうしていいかわからなくなってたんだ。

あの日、久世が私にどうしてほしいかを執拗に聞いてきたのは意地悪ではなくて、優しさだったんだ。

戸惑ってたんだ、この人でさえも。

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