苦恋症候群
……うん。

うん、そうだよね。


私はくるりと、三木くんに顔を向ける。



「わかった。三木くん、ありがとう」

「……どういたしまして」



怒るでもなく素直にお礼の言葉を口にした私に、彼は少しだけ怪訝そうにしながらもうなずいた。

持っているカフェオレを最後まで飲みきって、ストローをコップ部分の中に押し込む。



「それじゃあ私、戻るね。三木くんも、息抜きはほどほどに」

「ハイ」



言っているそばから、彼はまた次のタバコを取り出そうとしていた。

私は若干呆れ顔になって、両手を腰にあてる。



「仕事したまえよ、審査部の新人くん」

「部長からやっとくよう言われてた書類は、全部片付けてきてますんで」

「……そうですか」



なんだか、とんでもない後輩くんが来たなあ。

こっそり心の中で思いつつ、出入口の扉の前へと向かった。

ドアノブを回す直前、ふと思い立った私は、後ろを振り返る。
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