苦恋症候群
「え、ちょっとハルカくん、女の子連れなんて初めてじゃない?」

「……会社の先輩。森下さんです」

「はじめまして、森下さとりですー」



にこにこ笑いながら自己紹介すると、お兄さんも快活そうな笑顔を返してくれる。



「はじめまして、ここの店長の笹 順平です! いや~ようやくハルカくんが彼女連れてきてくれたと思ったのになあ」

「できたとしても、ジュンさんのところには連れて来ません」

「ほらーまた生意気言うー」



なんだか親しげなそのふたりの様子に、自然と笑みが浮かんだ。

私は職場での三木くんしか知らないから、こういう彼はなんだか少し新鮮。

すると目の前に、お兄さんがメニュー表を置いてくれた。



「どーぞ、うちのメニューです」

「ありがとうございます。えっと、笹さん」

「あは、『ジュン』でいいよ、さとりちゃん」



いきなり名前で呼ばれても、この人にならなんだか嫌な気はしなかった。

その人好きのする笑顔に、私も同じように笑みを返す。
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