もう二度と、離さない。

ドキドキ♡

「……」
「……」
 学校を出てから約10分、全然会話がない。
「おぃ」
「あの」
「「……」」
「橘先輩からどうぞ」
「あぁ。あのさ、俺と一緒に帰ってて楽しい?」
「へ?」
「いや、なんか俺…よく冷たいって言われるんだよね。俺あんま喋んないし、無口だからよく付き合っても女子に冷たいからいやって振られるんだけど…」
「そうなんですか…?」
 いきなり何を聞くのかと思えば、可愛い質問。でも楽しいって言ったら嘘になる。だって会話がないんだもん。
「うん。女子って喋ってくれる男子の方が好きなの?」
 うん。って……この人こんなに可愛い人だったっけ?何かすっごく可愛く見えるのは私の勘違いなんだろうか…。
「え……、それは人それぞれじゃないですか?」
「彩華は?冷たい男、好きじゃない?」
「私は好きですよ?好きって言ったら変かもしれないけど、嫌いじゃないです。それに、橘先輩全然冷たくないじゃないですか!」
「そっか、良かった。……でも俺は冷たいんだよ。今まで付き合った奴にメール来ても返さなかったし」
 嘘でしょ!?それはちょっと彼女がかわいそうかも…。
「なんで返さないんですか?一応見てるんでしょ?」
「見てるよ、一応見てる。でも返すのめんどくさいから返さない」
 謎な方だ。でも、何か嫌いになれない。好きな人だからなのかな…。
「めんどくさがりやなんですね。初めて知りました」
「だろ?俺も初めて言った。周りの奴らとこんな話しないからさ。 てか、彩華は…好きな奴いるの?」
 …やばい。これはどう答えればいいのか…。ここで言っちゃう?言った方がいい?言わない方がいい?言うor言わない!
「えっと、一応います」
「どんな奴?」
「どんな奴!?…身長高くて顔が綺麗で…イケメンで…冷たくて、でも優しくてカッコイイ人ですかね…?」
「あ、そう…」
「あ、私の家ここなんです!送って下さりありがとうございました!」
「別にいい。楽しかった?」
「はい♪」
「そう、良かった。あ、アドレス教えてくんない?」
「え…?メールめんどくさいんじゃ…」
「あ…彩華は別…。今日楽しかったし、また話したいしな!」
「あ、はい!」
 私は橘先輩とアドレス交換し、帰った。

 それにしても橘先輩の「彩華は別」って…。期待してもいいのかな?あんなふうに言われたら期待しちゃう。ダメだ、自惚れたらダメだ。でも、心臓がすごいドキドキしてる…。 あ、メールしようかな?返してくれないかな? んー…って一人つぶやいてたらメールが来た。

♪~♪~
―――――――――――――
件名 彩華
FROM 蓮太
本文 よぅ、俺だけど
  今日はありがとな
  楽しかった 
  また二人で一緒に帰ろうな
―――――――――――――

「うそぉ……」
 橘先輩からのメールを何回も読み直した。橘先輩、中身も外見もカッコイイけどメールもカッコイイんだ…。
「早速返信しなきゃ!」
―――――――――――――
DEAR 蓮太
件名 彩華です♡ 
FROM 彩華
本文 メールありがとうございます!
  私も楽しかったです♡♡♡
  また一緒に帰りましょう!
  ホントにありがとうございました♡
―――――――――――――
「送信しちゃった…」
 送信してから後悔してる私。もっと可愛い内容にすればよかった!あぁー、もう!

 一人で後悔してるとメールが来た。

♪~♪~
「誰だろう…?」
―――――――――――――
件名 (ΦωΦ)フフフ…
FROM 夏海
本文 彩華ー!!今日はどうだった?
  ちゃんと喋れた?喋ったよね?
  ね?ね?
  どんな話ししたのー?聞かせて(*゚▽゚*)
  ちゃんとアドレス交換した?
  彼女いるか聞いた?
  好きな人いるか聞いた?
  聞いたのかーー?
  ちゃんとアタックしなよー(^_-)-☆
―――――――――――――
「さすがナツ…」
 ナツにはなんて話そう…。「彩華は別」って言われたの話したほうがいいのかな…?
 一人ブツブツ言いながら返事を打った。
―――――――――――――
DEAR 夏海
件名 やばいの(((o(*゚▽゚*)o)))
FROM 彩華
本文 ナツ!ちゃんと喋れたよ!
  最初は沈黙状態だったけど、橘先輩から喋りかけてくれたの♡♡♡
  詳しくは明日学校で話すけど一部だけ教えます。
  「彩華は別」って言われたの\(//∇//)\
  期待しちゃってもいいのかな?Σ(ノ≧ڡ≦)
  あ、彼女いるか。と好きな人いるか聞くの忘れてた…(>_<)
―――――――――――――
 ふぅー……。明日は全部ナツに話そう!
 この時の私はまだ幸せだったんだろう
 


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