パパは幼なじみ
「それで、用事ってなに?」

まだ靴を脱いでいる途中の高田に声をかけた。

「あなたって、常識ないと思ってたけど、本当に非常識なのね」
「常識を説かれる筋合いはないけど」
「じゃあ、どうしてメールに返事もしないわけ!?ずっと返事待ってたのよ!?」
「……は?」


メール?さっきまで連続で送られてきていた、あの迷惑メールのこと?

「あの20件以上も送ってきたやつ?てか、あれこそ非常識でしょ。迷惑にもほどが…」
「それじゃないわよ!それもだけど、1番は昨日のメール!!」
「昨日……?あぁ、あれ」
「あれ、じゃないわ!どうして返信してこないのよ!夫婦別姓の理由、林田徹くんとのこと、私が引っ越してからの拓人くんの様子、拓人くんの好きな食べ物、拓人くんの好みのタイプ、拓人くんの……」


ちょっと待って!!

「最後のほうの質問、ただ拓人のこと知りたいだけじゃん!!」
「当たり前でしょう?引っ越しのせいで私だけ、圧倒的に拓人くん情報少ないの。アンフェアでしょ?」
「何がアンフェアよ。私と同じ土俵に立ってるつもり?」


高田の中では、疑問点はあるにしても私は拓人と結婚していることになっている。拓人を奪い合うにはスタートが違うんだ。私は自信をもっていても…

「同じでしょ、あなたと私。だって拓人くん、既婚者なんだから」
「え?」

何、どういう意味?
テストが近い今、できるならこれ以上、混乱させないでほしいのに……
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