パパは幼なじみ

PART2

テーブルをはさんで向かい合わせに座り、弁当を広げた。ら王ちゃんの弁当をチラッと見てみると、すごくおいしそう。

「あの、さっき拓人って聞こえた気がしたんですが…」
「やっぱり覚えているわけないわよね、真奈ちゃん」
「どこかで会ったことって…」
「“あいちゃん”って聞いても思い出せないかなぁ?」

あいちゃん…愛ちゃん…


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「ねぇ拓人くーん。いっつも真奈ちゃんのことばっかりでさぁ。年上は嫌なの?」
「そうじゃないけど、愛ちゃんは俺より大きいから、守る必要ないでしょ?」
「でも真奈ちゃんばっかりずるいよ!拓人くん、私のことも守ってよ!」
「じゃあ、愛ちゃんが大きくなったときに、真奈ちゃんよりも女の子みたいで守ってあげなきゃって思ったら守ってあげる!」
「……分かった!」
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「聞いたことあるような…」
「まぁ、最後に会ったのは真奈ちゃんが2歳のときだからね。父の仕事の都合で九州に転校したから。」
「私が2歳ってことは拓人は5歳で…先生は?」
「嫌よ。年がバレちゃうじゃない。それより拓人くん、今どうしてるの?大学生?地元に残ってる?」

キラキラした笑顔で聞いてくる。もしかしてこの人、拓人のこと……

「約束したのよ。あなたよりも女の子みたいだったら、一生守ってくれるって!」
「拓人は地元にいます。大学には通わず、高卒で社会人、出版社で働いています。」
「あら!私と同じ、社会人なのね!」
「そして…」
「ん?」
「拓人は既婚者です。私の家で、私と一緒に暮らしています。」

嘘は1つも言っていない。
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