パパは幼なじみ
「私と拓人のこと、知ってどうするの?徹くんは、自分のことを全部教えてくれた。でもそれは、私に協力してほしかったから。」
「………」
「でも、私が徹くんに自分のことを話す利点はあるの?」


私はまだ温かさを残しているコーヒーを少し飲んだ。徹くんは氷が音をたてて溶けるのを見た後、私の目を見た。

「確かに、真奈ちゃんが話す必要はない。フリだけで本当に付き合ってるわけじゃないし、そこまで干渉するのはおかしいかもしれない。」
「だったら…」
「明正が昨日、僕の家にきた。大阪から戻って2回目だよ。それで真奈ちゃんとら王ちゃんの話を聞いた時、変な気持ちになったんだ。」


変な気持ち……?


「拓人って誰なんだ?真奈ちゃんとどんな関係なんだ?真奈ちゃんは拓人って人が好きなのか?…そう思ったら、なんだか苦しくなって…」
「徹…くん?」
「真奈ちゃん、君のことが知りたくなった。」

店の窓から差し込む西日が、徹くんの顔を包みこんだ。

< 96 / 128 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop