まだあなたが好きみたい



「チャラって言うのもなんか納得いかないけど、まあいいかな」


「それで、いったい俺に何をしろって言うんだ。言っとくが金はねぇぞ。無茶な要求を聞き入れるつもりもねぇ」



菜々子はひとつ息を吐くと、改めて彼に向き合った。


強気な眦は十分。


反対にアゴは臆する気持ちを押し隠すように引いている。


固そうな唇には後には引かないという男気を見る。


固唾を呑んで言葉を待つ彼の緊張を菜々子はひとしきり愉しんだ。



果たして菜々子は言った。






「わたしを家まで送ってちょうだい」



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