まだあなたが好きみたい
耳元で囁かれると、女はまるで生娘のように顔を赤くして俯いた。
はぐらかすんだ? と有正は、彼女が小銭を数えようと伸ばした指先に自らのを重ねてそれを遮る。
「……ちょっと、時間かかるかも」
「君のためならいくらでも待てるよ」
女は打ち震えるように身体を小さく揺らし、危うげな手つきでレジを済ませた。
「レシートになります」
「うん。ありがとう」
最後もちゃっかり彼女の手に触れて念を入れ、有正は外に出た。