みんな、同じ。



「僕が住んでる家より、こちらの方が学校に近くて、それで」

住むことになったんです

彼は、そう言った。

住むことになったんです

そう、言った。

…そうか。
それで、お母さんは…
あんなに嬉しそうにしてたんだ。

『ちゃんと会話のできる子供』が家にいるから。
そっか。
そうなんだ。

胸が、痛くなった気がした。

「取り敢えず、着替えたら下に降りてきてくださいね」

そして、気配は消えた。

心にスッ、と。
冷たい風が吹いた気がした。


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