桜の木の下で-約束編ー

エピローグ


あの日から……

永い々旅をしていた。




ただ蒼空(そら)を見上げ
臆病なボクは、
幻恋に惑わされた。





求め続けた倖せは
もう手に入れていたのに……。




それすらも気がつけぬほど、
疲弊したボクの心は
怯え続けていた。





何時の世も隠恋募(かくれんぼ)は
睦遊ぶ(むつあそび)。




想い焦がれて、
隠れゆく……恋遊び……。






「和鬼、時間ね……」




ボクの隣、微笑み続ける少女。





それは……ボクが
想いを寄せ続ける少女。



……咲……。




「こちらの世界は夏がもうすぐね。

 向こうの故郷(世界)は、
 どの季節だと思う?」



雪解けを迎えた世界は、
国主である女王と……
国の守り神である、国主の側近。

桜鬼神によって……
今も繁栄を守り続ける。


桜の回廊を渡り、
人の世と鬼の世を繋ぐ
夢の架け橋。




最愛の想い人が
隣で微笑む
この世界の片隅で……。





ボクたちの未来を
祝福するように、
桜吹雪は舞い踊る。




ひらひら

はらはら



流れるように
睦逢うボクたちを
見守るように。







桜の木の下で-約束編-

第二幕

完結






 

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