林檎姫は恋をした。


「……………元気そうでなによりです、姫…」


なにが、元気そうでだよ…


『………私を殺しに来たんですよね…?』


姫は小さな声でそう言った。

この場合、俺はなんて言えばいいんだろう

………殺しになんて…来てない。


『…………クロさん…?』


「なに、物騒なこと言ってるのですか」


『え……?』


俺は精一杯の笑顔で笑った。


「様子が心配になって見にきただけです」


『で、でも………』


姫は少しあわてた。

多分、「私はその話を聞いて…」的なことを言いたいんだろう。



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