林檎姫は恋をした。
けど、そのまま俺は笑顔で話し続ける。
『奥様、怒っていらっしゃっているので城には戻らない方がいいですよ』
………一生、戻らない方がいいです。
なんて、言えないけれど。
「………クロ……さ……ん……?」
『……では、姫が元気なのを確認したので俺は帰らせてもらいます。
………姫、ご無事で…』
「クロさん…………っ!」
俺は名前を呼ばれても振り向かなかった。
けど、名前ではないか……
けど、あの人がつけたのだから名前……なのか…………