小さな死神
20分後。
公園の横を足早に歩く白い影一つ。ざわざわする人並みを尻目に玄関に近づく。
ピンポ~ン
「こんちわ。ライライ軒ですが?」
後ろからざわめきがする。人並みは中を覗こうとうごめく。
がちゃ。
急いで中へ入り込んだ。
「さえこ!一体どうしたの?」
由香はびっくり顔。
「どうしても会いたくて。会って話ししたかったんだ。」
「・・・」
「由香。あんたさぁ、なんでお母さんを殺したなんて言ったの?」
「・・・それは、それは。」
「あんた、誰がやったのか知ってるの?」
「お願い!帰って!あたしは何も言えないよ。」
「あたし、誰にも言わないから。親友でしょ?」
「ふふふ。あたしに親友なんていないわ。いいから帰って!」
追い出された。あ!岡持ちぃ!
「親友じゃないってどういうこと?」

「・・・あたし、自信無くした。」
俺の事務所。さっきからため息ばかりのさえこ。
「熱でもあるのか?」
さえこの額に手を当てた。
「熱なんか無いわよ!」
「どうしたんだ?」
「いたいけな乙女の小さな胸がしくしく痛むんだ。」
「小さな胸は否定しないけど、いたいけなはなぁ・・・。」
「あぁ~ん。」
さっさえこが泣いてる!天変地異の前触れか!
「泣くなよ。なぁさえこぉ。」
「津上ちゃん・・・結構優しいんだね・・・。」
やったぁ!ラブコメ路線突入!!!
「さっさえこぉ!」
見つめあう目と目・・・近づく唇・・・・・・・妄想です。はい。
「じゃまた明日ね。」
さえこはとっととドアを開けた。そして振り向いた。
「送ってね。」
やっぱり・・・
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