幼なじみと秘密の時間
私の幼なじみ
私の名前は藤崎蘭。


高校に入学したばかりです。
新しい制服に身を包み、鏡の前で期待を
膨らませていた。


「髪形OK!メイクOK!やっぱこの制服
可愛いなぁ~」


ーコンコン!!

私は自分の部屋の窓に歩いて行き
カーテンを開けて窓も開けた。


「おはよ!」

「おはー支度出来た??」

「うん!見て~制服可愛いでしょ」

「…あーうん、いんじゃねぇ」 

「なによーその言い方…」


無邪気な笑顔で笑った後、
隣の家の窓から、私の家の
窓へ移動してくる…。


私の幼なじみ。

“亀崎和弥”

私の家と和弥の家は隣通し。
元々親同士が友達で、隣に並んで家を建てた。
そして、仲良く子供まで同じ時期に産まれた。


私の部屋と和弥の部屋は、窓を開ければ
お互いの部屋に行ける距離で小学生の時から
よく行き来していた。


毎日の様に一緒に遊び…毎年家族一緒に旅行に
行っていた。
だから、私の思い出には必ず和弥がいる。


「スカート短くね?」

「そぉ?このくらい普通でしょ」

「バーカ、駅の階段でエロ親父に下から
見られるじゃねーか」


和弥は床にしゃがんで私のスカートを
ピラっとめくる…。


「コラ!見たな~エロ親父は和弥でしょー」

「あっ!バレた~?今日は水色か…」

「和弥ーーー」


私は、和弥の頭をポカポカと叩く。
和弥は嬉しそうに叩かれた後、私の両手を掴んで自分の方へと引き寄せた。


「キャッ…」


その瞬間、勢い良く隣にあるベッドの上に倒れた。

目を合わせて固まる私に、和弥はチュッと音を
鳴らしてキスをする。


次の瞬間、和弥は私の後頭部をガッチリ押さえて再びキスを落とす。


何度も角度を変えてやさしいキス…。
しばらくして、和弥の舌が私の口の中に入ってきて、甘く深いキスに変わる。


「ん…」


甘いキスを堪能した所で、和弥の唇が離れ
私の首筋に移動してきた…。


頭の中がとろけて来そうになった所で
私は、ポケットから携帯を出して
和弥の目の前に突き出した。


「時間ないよ、和弥」

「チェっ…」


和弥は、拗ねた顔をして私の上から離れて
ベッドの上に座る。

そして、私のことを起こしてくれて


「続きは、帰ったらたっぷりな」

と怪しげな笑みをする。

「もう…」


私と和弥は、付き合ってない。

私には、中学の頃から付き合っている人がいる。


“武藤祐希”(むとうゆうき)



祐希と和弥は、仲の良い友達。

高校は別の学校だけど、地元は同じだから
たまに遊んでいるらしい。

祐希は、中学の頃から野球部に入っていて
高校に入ってからも、毎日部活をしている。

だから、私もたまにしか祐希に会えなくて
その代わり、毎日の様に和弥と顔を合わせている。


付き合っていなくても、さっきの様にキスを
したり…。

ただの幼なじみから、こんな関係になったのは
中1のあの日から…。



もう、3年前になる。


私たちの関係を知っているのは、誰もいない。


私と和弥だけ………。



どうして、こうなったかは…。。



「じゃあ下で…」

「うん」


和弥は、窓から自分の家に帰って行った。

私も鞄を持ち、部屋を出て階段を降りていく。


「行ってきまーす!」

「気を付けてね、行ってらっしゃい」


リビングから、お母さんが出てきて
見送ってくれる。

玄関を出ると、ちょうど和弥も家を出てきた。



「行くかっ」

「うんっ」


2人で並んで、駅までの道を歩いていく。

外は晴天で、ぽかぽか暖かい。

駅までの道の桜並木は、キレイに満開…。


「わぁ~桜キレイだね」

「今だけだろ、そのあとはお前のキライな…」

「もぅ、それは禁句!!少しはキレイな桜を堪能しなよ!」

「堪能したくても、お前が毎年毎年騒ぐから
桜見ると思い出すんだろ」

「はい、すみません…」

「ったく」

「あっ!ヤバい電車来るよ、和弥急いで!!」









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