幼なじみと秘密の時間
ホームで電車を待つ。

「おはよ!!」

後ろから高めの声がする。


私の親友の“高須舞”(たかすまい)
中学からの付き合いで高校も一緒。

セミロングの栗毛色の髪に細身の長身。
舞といると本当に時間があっと言う間に
過ぎるほど楽しい。


「舞、おはよう」

「ねぇねぇ蘭、今日新しく出来たショッピングモール行かない??」

「今日やっと、オープンだもんねぇ~
行こ行こ!!」

「やったぁー決まりね!」

和弥をそっちのけで、舞とおしゃべりを
楽しんでいた。

和弥は、またかっとばかりに涼しい顔で
電車の来るのを待っている。


電車が来て、3人で乗り込む。
今日もお決まりの満員電車…。。

入り口付近の壁に寄りかかる和弥。

その前に私と舞が立つ。


電車が出発し、速度を速める。
次の瞬間、電車が横揺れして舞はドアに
掴まった。
 
私は壁も吊革も回りになく、勢い余って
和弥の胸に倒れた…。


「キャッ…」

「いて!お前、出発してすぐは横揺れすんだから、掴まれって言っただろっ」

「そーだった。いっつも忘れちゃうだよね」

「学習しないヤツだよなー」

「うるさいな、和弥は…」


「はいはい、夫婦ケンカはそのくらいで!」

横から舞が会話に入ってくる。
いつものことだと、呆れ顔…。


「舞ーーー、ヒドい!!和弥と一緒にしないでよー」

「一緒でしょ!あんたたち、小学校から登下校毎日一緒で高校も一緒で…私から見たら老夫婦にしか見えないから!」

「老夫婦…ばぁちゃんかい!!」


「ぷっっ…」

和弥が話を聞いて吹き出す…。

「ちょっとー和弥もちょっとは反論しなってー」

「オレ、別に老夫婦でいいけど!?」


ニヤニヤしながら、こっちを見てくる。

「なっ…私、まだ肌もピチピチだもん。
老夫婦はヤダ!!」

「嫌なのはそこかよ…」

「はい、そろそろ降りるよ」

舞は、自分が突っ込んできたのに
駅に着くと私と和弥の会話をバッサリ
斬った…。
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