私立聖星魔法学園
「「・・・・・・は?」」



あたしと大助が揃って言う




「存在を消すといってもあなた方の姿が消えるわけではありません」




しかし聖夜は気にする様子もなく話を進める




「今まであなた方に関わってきた全ての人の記憶を消します。全ての記憶を消すわけではなくあなた方の記憶だけをです」




「記憶を消す・・・?」




「はい。なのであなた方が今後どこへ行っても誰も気にしません。なぜならあなた方のことは覚えていないんですから」




感情のない機械のような口調のまま聖夜は微笑む





しかしその笑みもとても冷たく、感情などいっさいもこもっていないものだ




「・・・ふざけんなよ」




いきなり大助が聖夜の胸ぐらを掴んで壁に叩きつける




「さっきから黙って聞いてりゃなんなんだよ!記憶を消す必要なんてねーだろっ!!」



怒りで叫ぶ大助とは対照的に聖夜はたんたんと続ける



「記憶を消すのは今後あなた方が消えた後、困るのはあなた方のご家族であるのと、我々の世界がこの世界に知られるのを防ぐためと二つの意味合いがあります」



「だからって・・・っ!!」



「ちょっと待って!」



大助が聖夜を殴ろうと腕を振り上げる途中で思わず割り込む




「記憶を消す理由があんたの世界のことが知られないようにするためって言った?」



「はいその通りです」



「じゃあ・・・」



一呼吸置いて言った



「あたしの記憶も消すつもりだったの?」




あたしは一度聖夜の申し出を断っている



部活のときのようなものがなかったら今でも断っているに違いない



だとしたら―・・・





「そうです」



即答



聖夜はたった一言で答えた




「今日一日あなたの様子をみて良い返事がもらえなかった場合はあなたの僕に関する記憶を消すつもりでした」



その声は、顔は、本当に『無』としか表現できないようなものだった




だからなのか眼には涙が溜まっていく



今目の前にいる聖夜は今まで接してきた聖夜とは別人なのだ



「なんで・・・いきなりそんな変わっちゃったの」



「特に僕は変わっていません。今の対応はマニュアルに従っているだけです」



「マニュアルってなんだよ」



「我々の世界に来る覚悟が本当にあるかどうかの確認のことです」




するりと大助の腕から離れた聖夜は改めてあたしたちの顔を見て




「本当に僕と一緒にくる覚悟があるのならこの手に手を置いてください」



そういって自分の手を前に差し出した
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