~D*A doll~
チラリ、と龍翔を見ると。
さすがにいくら龍翔だからってこのキツイ生活が堪えているのか眉間にしわを寄せていた。
あたしの呑み込みが悪くて怒っているだけかもしれないけど。
「……あんだよ?」
「もう、寝ませんか……」
力なくゴン、と机に額をつけながら言ったあたしに、龍翔は微かに笑い声を漏らした。
「……なら、寝るか」
龍翔のこの言葉に勢いよく顔を上げる。
勢いのあまり少し頭を目の前が回ったが、それに耐え満面の笑みを向けた。
「本当っ!?」
ダメもとで言ってみてよかった。
……あぁ、久しぶりのあたしの安眠。
あまりの嬉しさについ癖で手に持っていたシャーペンを投げ捨ててしまいそうになったとき。
スーーっと、龍翔が目を細めた。
そして……
ニヤリ、と不敵な笑みを見せ。
「……え?っと、おわっ」
あたしをいきなり抱き上げた。
大人が小さな子にするようなそれだ。
「え、ちょ、なに、え?」
咄嗟のことを理解できないあたしは龍翔にしがみつきながらアワアワとするだけだ。
クククッ、と笑いながら足を進めている龍翔はどうやらリビングから総長室へ向かっているらしく。
器用にドアを開けて閉め、あたしをそっとベッドに置いた。
「……へ?ここで寝るの…?」
あたしがここに入るのは、いつか龍翔に抱かれて________以来だ。
「もう時間ねぇんだからつべこべ言うな」
先にベットに寝転がった龍翔があたしの腕をぐっと引いて、簡単にあたしは龍翔の横に倒れこむ。
「目瞑ってさっさと寝ろ。おやすみ」
されるがままになっていたあたしがハッとしたときには……龍翔はあたしを腕で拘束して、もう既に眠りに落ちていた。
……寝るの早すぎ。
さっき浮かんだ龍翔は勉強をしないで大丈夫なんだろうか、という疑問がまた浮かんできたが、あたしも数日溜まった疲れと睡眠不足に、意識を深く沈められた。