~D*A doll~
「…あれセンセー?こんなとこ突っ立って何してんの?」
「……いや、何でもねぇ。わりぃけどこのプリント職員室の俺の机の上に置いといてくれる?」
「センセーの後輩たちに頼めよ。パシリは尻尾振って何でもやってくれっだろ」
「どーせ下降りるだろ?任せた、よろしく」
「っはぁ?オイ!」
……ったく何なんだよ、と呟いた少年は廊下を歩いていく教師の背中を見つめる。
それをしばらくの間見つめ、渋々と職員室を目指した。
「……なぁに?もしもし?」
階段を下り切り、一つの見えた陰に思わず足を止めた。
そこには___学校イチの美少女であり、遊び人であり、暴走族に囲われ始めた莉々花の姿が。
「……へぇ。莉々花チャン、やるねぇ」
男は先ほどの教師の浮かない顔の訳を推測する。
……まぁ顔はキレーな女だしあの教師に限ってロリコンはねぇからな。
男はプリントを片手にスマホを取り出してある人にメールを打った。
『もうすぐショーの始まり始まり~~』
精々絶望でも味わってよ、莉々花チャン。
不敵に笑った少年は女に背を向け、職員室までの道のりを歩き出した。
何かが始まるような暑い日。蝉の鳴き声が、うるさく響いていた。