~D*A doll~
聖龍はあたしたちの目の前で止まる。
「……莉々香ちゃん」
そして、あたしの携帯を奪ったままのチビがあたしに話しかけてきた。
こいつは、あたしにとっては恐怖でしかない。
もう顔なんて見たくもなかったのに……。
「…ねぇ?早くいこ?」
あたしの肩を抱いている男に目を合わせ、ここから動くように目配せをする。
早くして。
早く忘れさせて。
「…あ、あぁ」
そして、ここから直ぐに去るはずだった。
「…おい。お前ら?待てよ」
でも、それは出来なかった。
後ろからあたしは誰かに腕をつかまれたから。
慌てて男はあたしの肩を離し、あたしは後ろを振り返る。
…もう、いい加減にしてよ。
あたしは、今でも泣きそうなのに。
必死で涙止めてるのに。
でも、それを悟られないように無理矢理泣き顔で笑顔を作る。