~D*A doll~
「まぁ、とにかくここを移動しようか…?周りもうるさくなってきたことだし。」
確かにたくさんの野次馬…って言うか身の程知らずの女が集まってきている。
「だから俺は女なんか嫌いなんだよ」
「遼、それは俺も同感だけど…。莉々香ちゃんは違うと信じたいよ」
諷都は爽やかに言っているが、その言葉が本心かどうかは分からない。
「は?あいつが一番無いだろ?今瑞希が持ってる携帯も…男からの連絡で鳴りっぱなし。うるせー」
瑞希、切ろよ。と遼は僕に言うがロックが掛かっていて何もできない。
……あ、電源を切ればいいのか。
でももうめんどくさ。
「とにかく、今すぐ倉庫に行くよ。龍翔が待ちくたびれてかんかんだったら怖いからね」
諷都はそう言って、僕たちにこれ以上何も言わせない雰囲気で歩き始めた。
…諷都達はまだ気が付いていない。
先ほど見せた莉々香ちゃんの無表情の意味を。
僕たちに失望しているという事を。
莉々香ちゃんは他の女と同じ扱いすらしてはいけないという事も___気づいていない。
そして僕も、彼女の自分が切りつけた傷に気づいていなかった____。
瑞希side end*