Voulez vous du chocolat?
「で、チョコレート湯煎して。
チョコ溶かしたら、もう時間との勝負だからなァ。覚悟して」
にっと口の端を持ち上げる神無月君。
そんな姿を、別に、かっこいいとか思ったわけじゃないけど。
「わかったわかった、湯煎ね?
ボウルをお鍋につけなければいいんでしょ?」
「そうそう。そのためにまぁ手っ取り早く、お湯の量増やす?
でもチョコレートにお湯入ったら、一発で駄目になるからね」
蒸気もなるべく入らないように、かき回し過ぎないように……。
次々注意事項を述べていく神無月君は、さすがだ。
「まだそんなに慌てなくていいから。
ボウルは絶対に床と水平に保って……」
横から、鍋の中のボウルをしっかりと押さえつけられる。
顔が赤くなったのは、鍋の中で沸騰してるお湯のせい。
「そうそう、その調子」