イケメン王子の花メイド
「仲良いというか……とても気に入ってます」
「……へぇー」
「綾小路さんはあんまり甘やかさない方がいいと仰って下さいましたが、俺にとって花はなんか、そういう扱いしたい相手じゃないんです」
「……」
少し顔を曇らせた綾小路は、すぐにいつもの綺麗な笑顔を棗に向けた。
「そっかぁ。うーん、それを仲良いって言うんじゃないかな?」
「え、あ……そうなんですか?」
「うんっ。……なんだか随分予定が狂っちゃたなー」
「……え?」
ポツリとそう呟いた綾小路は、うーんと伸びをして空に微笑む。
それを黙って棗は見つめた。
「ちょっと焦っちゃう」
「…??仰ってる意味がよく……」
「えへへ、なんでもないよ」
状況を理解出来ずに首を傾げる棗を見て、綾小路はふんわりと笑うのだった。