イケメン王子の花メイド
「滝沢くん!いつまでそのメイドと話してるのよっ」
そんな甲高い声が聞こえたかと思えば、遠山副会長がズカズカと鬼の形相でこちらに向かって来ていた。
私は咄嗟にその場から後ずさる。
「私の為のお茶会ではなかったのっ?」
「これは失礼しました」
そう言って椅子から立ち上がった棗様は、遠山副会長を皆のいる所へ促しながら歩き出した。
と、そこへパチっと目が合った小塚森様が私のもとへと駆けて来る。
「ねね、俺と話そうよ花ちゃん」
「えっ」
積極的な小塚森様はぎゅっと私の手を握ると、もう少し皆から離れたテーブルへと私を連れて来た。
抵抗をする間もなく、私は小塚森様のペースの乗せられてしまう。
「年齢は?」
「…えと、17です」
「へぇ〜一個下かぁ〜」
ニコニコと人懐っこい笑顔を私に惜しげも無く向けながら、小塚森様は次第に私の指に自分の指を絡ませてきた。
そんな未体験な行動に私は素直に真っ赤になってしまう。
つ、付き合ってもない男性からこのような積極的なコミュニケーションは私、あの、どうしたら。
みるみる熱くなる手に更に恥ずかしくなり、私は苦し紛れにぎゅっと目をつぶった。