ナナイロのキセキ
そんなことを考えていた、ある日のことだった。

夜11時。

明日が日勤の私は、そろそろ寝ようかと読んでいた雑誌をパタンと閉じる。

本棚にしまおうと立ち上がった時、スマホのバイブがブルブルと震えた。


(メール・・・?いや、電話だ!!)


画面を見ると、坂下さんの名前が記されていた。

「・・・!はいっ!」

通話ボタンを押すと、勢いよく電話に出る。

「久しぶり。寝てた?」

「いえ、全然!起きてましたよ。」

私はうれしくなって、弾んだ声で返事をする。

坂下さんに見えているわけではないのに、

髪の毛をささっと整え、テーブルの前に正座する。

「そっか。よかった。・・・ごめんね、あんまり電話できなくて。」

「ううん。忙しそうだし、大丈夫ですよ。」


(なんて、ほんとはとても、寂しいけれど・・・。)


「元気にしてる?・・・て、メールでは聞いてるけど・・・。」

「はい。指名のお客さんも増えて、結構私も忙しくしてて・・・。

元気です。」

「そっか。すごいな、お客さん増えたんだ。」


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