ナナイロのキセキ
「はい。それはうれしいんですけど・・・あ、坂下さんこそ、

忙しそうですけど大丈夫ですか?」

「うん。思ってたより忙しいけど、仕事はまあなんとかやってる。

それよりも・・・。」

「はい?」

「牧野さんに会えないのが、やっぱりちょっと、つらいかな。」

「え・・・。」

切なげに呟く声に、私はドキッとしてしまう。


(坂下さんも、そう思ってくれてたんだ・・・。)


私は少し安心する。

もちろん、さみしさを感じてくれてるはず・・・とは思っていたけれど、

男の人だし、大人だし、忙しいし・・・

どこかで、私への気持ちが薄れているんじゃないかとか、

割り切っているんじゃないかとか、

考えたり、感じたりしている暇もないかなとか、不安な部分もあったから。

「私も、さみしいです・・・。」

坂下さんの想いを聞いて、自分も素直な気持ちを口にする。

「・・・うん。ごめんね、寂しい思いさせて。」

「ううん。でも久しぶりに話せたし、一緒の気持ちだってわかったら、

なんか、大丈夫な気がしてきました。」

「そっか・・・。あ、でも、今日は朗報があるんだ。」

「朗報?」

「うん、来週の木曜日、そっちに出張に行くことになったんだ。」

「え!?ほんとですか?」

私は思わず立ち上がる。










< 83 / 261 >

この作品をシェア

pagetop