私たち、政略結婚しています。

克哉は私なんかが側にいなくても平気なんだ。

分かってはいたけれど、部屋を出た瞬間に彼の態度までもが変わってしまったことに私は落胆していた。

目も合わせてはくれない。
話しかけても嫌そうな表情で私を一瞥する。

所詮、私はケンカばかりしていた同僚だ。
もともと仲が良かった訳じゃないもの。

だけど…。
優しい目で私を見つめていたのに。
『俺のもの』だと守ってくれていたのに。

優しい彼を見てきたせいか、今の状態をなかなか受け入れられない。私、贅沢になってきてる。
中沢さんに克哉を取られたくないだなんて、思ってしまう。

もうその目は私を見てはいないのに。




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