【完】イジワルな君と同棲(仮)中っ!
「え?」
「……っ別に何でもねぇし!
ほら行くぞ、次!」
そう言ってあたしの手をぐいっと引っ張り
走りだした。
「……っちょっと!せんっ……り」
風になったように速く走る千里に
あたしの足は縺(もつ)れそうになった。
しばらくして千里は走っていた足をゆっくりと止めた。
「……ごめん。大丈夫か、望未」
「……大丈夫……じゃないわよ…っ!
あたしは、き、帰宅部!アンタはっ、
陸部でしょうが!……っ」
あたしは膝に手をつき、
肩で息をしながらそう言った。
「悪い悪い」
そう言ってあたしの頭を撫でながら
悪気の無いように謝っている千里。