叶わぬ恋の叶え方

会社からは長期療養休暇をもらった。

職にあぶれていた咲子がやっと見つけた仕事だ。早く病気を治して復帰しなきゃと思っている。

課長がゆっくり休むように言ってくれた。彼の言葉に痛み入る。

そうは言ってもらっても、ラインのことが気がかりで気が休まらない。これでも一つの持ち場の責任者なのだ。

咲子は製菓工場で働く工員だ。

主に首都圏で流通している洋菓子メーカーの工場が、郊外の町にある。毎朝、電車で郊外の駅まで行って、駅前で工場のワゴン車に拾ってもらう。山の麓の大きなお菓子工場まで、駅からさらに20分かかる。

入社四年目にして一つのラインのチーフを任せられた。シュークリームを作る流れ作業のラインだ。

出社すると白いキャップと作業着に着替え、腕を洗浄してラインに入る。咲子は同じラインにいる工員たちの仕事を監督する立場にある。

シュークリームのラインはオートメーション。咲子たちのグループが担当しているのは検品と袋詰めだ。今日日、些細なことでクレームをつけてくる消費者もいるから、不良品はしっかりと見つけてはじかないといけない。
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