叶わぬ恋の叶え方

ベッドの上でネットをしていても、現場のことが気になって仕方がない。最近入ってばかりの学生バイト君はちゃんとやってくれているだろうか。頼りがいのあるパートのおばちゃんたちが厳しく教育してくれているから大丈夫だろうけど。

この近くにはマンモス大学の郊外キャンパスがあって、そこの学生がアルバイトをしにくることがある。若い学生にパートタイマーのおばちゃん、派遣社員に正社員、あそこは様々な人たちが働く職場だ。


入院して2日目。ラインの仲間が咲子を見舞いにきてくれた。派遣社員の清水さんだ。彼女は咲子の部下に当たるが年齢は、咲子よりも少し上のアラサーだ。早速見舞いにきてくれるなんてありがたい同僚だ。

「姐さん。病気で倒れちゃうなんて働きすぎなんだよ」

「別に倒れてはいないって。それに治療すれば治る病気だから心配することなんかないって。清水さんこそ、仕事帰りにこんなとこまできてくれちゃって、申し訳ないね」

「そりゃあ、姐さんにはいつもお世話になってるもん。他のみんなからもよろしく伝えてくれって言付かっているよ。姐さんのいない間はうちらが頑張るからゆっくり休みなよね」

ラインのチーフである咲子は、現場の仲間に「姐さん」と呼ばれている。清水さんみたいな年上の仲間にもそう呼ばれている。

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